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壺中対談Interview

2024.01.31
馬士達先生の思い出<二>

長く馬先生に篆刻を教わりながらも、なかなか上達せず、いつも先生を沈黙させるばかり。課題の5顆の作品を見てもらった後、先生の前で印を刻するのであるが、遅々として進まず、先生もさぞかし苦労されたことであろう。

ある時、ずっと下を向いて必死で印を刻していた僕の耳に笛の音が聞こえた。先生がさぞかし暇となり、とうとう音楽を聴き始めたと思っていたが、何か違う。音が近く、空気の流れのようなものを感じた。

先生は、印を刻す僕の前で笛を吹き始めたのである。

不思議な光景でもあるが、中国の文人生活とはこのようなものなのかと、とても嬉しく感じた時間であった。

書を愛し、篆刻を愛し、音楽を愛し、まだ見ぬ新しいものに興味を抱き続けた偉大な文人であった。

 

菊山武士

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