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M&Aの手法

M&A手法一覧

手法 取得・結合の手法 切り離しの手法    
株式の譲渡・取得 平成14年4月1日から連結納税制度

平成18年4月1日から企業結合会計の適用

平成18年5月1日から会社法施行
第三者割当増資
事業譲渡・譲受
株式交換・株式移転 平成11年10月1日施行
会社分割 平成13年4月1日から企業再編税制の導入
合併
現物出資
事後設立
新株予約権 平成14年4月1日施行

M&Aの手法には様々なものがありますが、大きく「取得・結合するための手法」と「切り離すための手法」に分けることができます。買い手側は「取得・結合するための手法」を、売り手側は「切り離すための手法」を検討することになります。

取得・結合のための手法としては、「株式の取得」、「第三者割当増資の引受」、「事業譲受」、「株式交換による100%子会社化」、「株式移転による100%子会社化」、「会社分割」、「合併」、「現物出資」があり、少し変わったところでは、「新株予約権の取得」などがあります。

一方、切り離しのための手法としては、「株式の譲渡」、「事業譲渡」、「現物出資」、「会社分割」、「事後設立」、などがあります。

なお、「会社分割」の場合、事業を分割する会社にとっては切り離しの手法となりますが、分割により事業を承継する会社にとっては取得のための手法といえます。事業の「現物出資」についても同様のことが言えます。

これらの手法のうち、株式取得、合併や事業譲渡といった手法は従来から利用されてきましたが、近年の相次ぐ法改正により、新たに利用できる制度が増え、売り手・買い手のニーズを満たすM&A手法の選択が可能になりました。

具体的には、株式交換・移転(平成11年10月施行)、会社分割(平成13年4月施行)、新株予約権(平成14年4月施行)などは、商法改正によって創設された制度です。

これらの商法改正にあわせて税制の整備も随時行なわれていますが、平成13年4月1日施行の企業組織再編税制では、従来の合併等の税制の取扱いが抜本的に見直されました。また、平成14年4月1日に連結納税制度が施行されました。

これら一連の法整備が、企業の機動的な再編を可能にし、M&Aを促進する一因となっています。

さらに、平成18年5月には会社法が施行され、企業再編に係る対価の柔軟化等が整備されたことにより、いっそうの企業再編の円滑化が図られています。

M&Aの主な手法の特徴(メリット・デメリット)

  株式取得 営業譲渡 株式交換 株式移転 会社分割(吸収分割) 合併
譲渡 増資
1.資金の授受 あり あり なし なし
2.M&A後の事業形態 子会社等 買収会社に吸収 100%子会社 買収会社に吸収
3.税コスト              
  売手 法人税・所得税等 譲渡益に課税 譲渡益に課税 原則、課税
一定要件で課税繰延
原則、課税
(みなし配当・譲渡益)
一定要件で課税繰延
  消費税 あり
  登録免許税 あり
  買手 法人税等 取引価格等が適正であれば、課税なし
  消費税 あり
  登録免許税 あり あり
(軽減措置あり)
  不動産取得税 あり 非課税
4.事務手続の簡便性 容易 煩雑 比較的容易 比較的容易 比較的煩雑
  株主総会の要否 売手 譲渡制限会社は特別決議 原則、特別決議 特別決議 特別決議(簡易手続あり) 特別決議
  買手 全部譲受は特別決議 特別決議(簡易手続あり) 特別決議(簡易手続あり)
5.法的関係
  権利義務の移転・債務の承継 個別移転 包括移転(債権者保護手続あり)
  簿外債務の引継 なし
  労働契約の継承 個別同意 継承
  事業の許認可 再取得 原則、移転

4.事務手続の簡便性:増資については「非公開会社は原則として特別決議」となった。
7.債務超過会社の買収の可否:株式交換、株式移転、会社分割、合併のいずれでも「可能」となった