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現物出資

現物出資とは

現物出資とは、金銭以外のもの(不動産、動産、有価証券等)をもってする出資のことをいいます。

現物出資による新株発行は、会社が特定の財産を必要とする場合や出資者の便宜を考えて、金銭以外の出資に対して、その価額に相当する株式を発行することを認めたものです。
現物出資によるX事業部門の分割

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現物出資をするにあたっての留意点

会社法上の留意点
現物出資財産を過大に評価して株式を発行すれば、会社の資本充実を阻害し、債権者や他の株主に損害を与えることになるので、会社法上、原則として裁判所選任の検査役の調査を受けることを必要とします。

しかし、次の場合は、検査役の調査は不要となります。

a.募集株式の引受人に割り当てる株式総数が、発行済株式総数の10分の1を超えない場合。
b.出資財産の総額が500万円を超えない場合。
c.出資財産が上場株式等の場合は、市場価格を超えない場合。
d.出資財産の価格等が相当であることにつき、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人、による証明を受けた場合。
e.出資財産が不動産の場合は、不動産鑑定士の鑑定評価を受けた上で、財産の価格等が「相当である」ことにつきdに掲げる弁護士等の証明を受けている場合。
f.現物出資財産が会社に対する金銭債権であって、その金銭債権について定められた価額が、その金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合。
税法上の留意点
法人税法では、会社の一部門を現物出資する場合、原則は時価で資産・負債を譲渡したとみなして、譲渡益に対して課税を行いますが、一定の要件を満たす場合には、適格現物出資として課税を繰延べることとしています。

適格現物出資の要件は次のとおりです。

a.現物出資によって国内にある資産・負債を外国法人に移転するものでないこと、かつ現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されること。
b.上記aの要件を満たし、かつ現物出資法人および被現物出資法人の持分関係が100%である企業グループ内の現物出資である場合には適格現物出資に該当する。
c.上記aの要件を満たし、かつ現物出資法人および被現物出資法人の持分関係が50%超100%未満である企業グループ内の現物出資で事業継続等の要件を満たす場合には適格現物出資に該当する。
d.上記aの要件を満たし、かつ共同事業を営むための現物出資として事業継続等の要件、事業関連要件、事業規模要件、株式保有継続要件を満たす場合には適格現物出資に該当する。

<参考>
適格現物出資と適格分社型分割および株式移転は、税制上の取扱いは、ほとんど同じでありますが会社法上、分社型分割の方が手続が簡単です。