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株式交換

株式交換とは?

株式交換とは、ある会社が他の会社の株式を100%取得して親会社になる場合において、100%子会社となる会社の株主からその会社の株式を譲り受け、代わりに親会社となる会社の株式を交付するものです。

株式交換は、例えば、以下のようなケースで用いられます。

a.会社を買収したいが買収資金がないか、あるいは自己資本を充実させて買収したいケース。
b.グループ化を迅速に行いたいケース(少数株主の株式を強制的に交換できます。)。
株式交換による子会社化

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株式交換するにあたっての留意点

会社法上の留意点
a.株式による現物出資のように見えますが、検査役の調査は、必要ありません。
b.本来株式交換を行っても完全子会社の財産の減少も資本の額の減少も生じません。
したがって、債権者が不利益を受ける余地はないことから債権者保護手続は原則として不要となります。
ただし新会社法では対価の柔軟化が図られ、株式交換完全親会社の株式以外の金銭等の交付がされる場合は、債権者の異議申し立て手続等の債権者保護手続があります(会社法799条1項③号)
c.株式交換契約書の株主総会の承認が必要ですが(特別決議)、一定の要件を満たす場合は、簡易な株式交換として、完全親会社となる会社の株主総会が不要です。
なお、新会社法によって簡易株式交換の要件が緩和された他(会社法796条3項)、いわゆる略式組織再編行為という規定が設けられ(会社法796条1項)、議決権の90%以上を保有している場合には株主総会の承認が不要となりました。
ただし、株式交換完全親会社が公開会社でない場合は適用されません。
d.新会社法において、いわゆる企業再編行為における対価の柔軟化が図られました。
株式交換においても、株式交換完全親会社の株式の交付に代えて、金銭その他の財産の交付が認められました。
想定されるその他の財産としては、株式交換完全親会社の親会社株式、株式交換完全親会社の発行する社債・新株予約権・新株予約権付社債、その他が想定されています。

ただし、対価の柔軟化の結果、株式交換についても税制適格、非適格の取り扱いが導入され、税務の取り扱いがかなり異なりますので注意が必要です。
会計処理の留意点
新会社法の施行により、企業結合会計基準との整合性がとられました。

(1) 株式交換が株式交換完全親会社等による株式取得に当たる場合

通常交付した株式の時価が子会社株式の取得価額となり、同額の資本の増加となります。
なお、親会社株式以外の資産を交付した場合には、親会社においてその資産の時価と簿価の差額が損益となります。

(2) 株式交換が持分の結合に当たる場合

子会社の適切な簿価純資産額が子会社株式の取得価額となり、資本の増額となります。
税法上の留意点
子会社の株主からすれば株式交換も株式の譲渡ですが、一定の要件のもとで株式譲渡益課税が繰り延べられます。

税法上株式交換には、税制適格と税制不適格に区分されます。

合併における税制と主旨を合わせた扱いとなっています。

税制適格株式交換とは、

(1)株式交換完全親法人の株式以外の資産が交付されず、
  かつ、

(2)イ.企業グループ内株式交換、
    又は、
  ロ.共同事業を営むための、
株式交換に該当する場合です。

税制適格株式交換においては、子会社の株主に株式譲渡益課税はされません。

また、子会社の資産も簿価が継続されます。

ただし、親法人の子会社株式の取得価額は会計処理と異なる場合があり留意が必要です。
税制不適格株式交換とは、

(1)子法人の資産の時価評価がされ、含み益、含み損が税務上益金、損金となり課税が発生される場合があります。

(2)子法人株主の課税関係

イ.完全親法人の株式以外の資産の交付を受けていない場合は、株式譲渡損益は繰り延べられます。

ロ.完全親法人の株式以外の資産の交付を受けた場合は、株式譲渡損益が発生します。

(3)親法人の子会社株式所得価額は時価となります。