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2021.08.27
風景画家の手法(メチエ)イギリス種の梨の木

印象派の風景画は戸外にカンヴァスを立てて、移ろう自然の光をそのまま定着させようと思われがちだが、ルノアールはその難しさにも気ついていた。刻一刻と変わろうとする空模様を前にしては、一枚の絵を完成させることもままならず、また戸外の光のもとで美しい画面を作り上げたとしても、アトリエの和らいだ光のなかで見ると、まったく醜悪なものになってしまう。先輩の風景画家カミーユ・コローにその困難を告白したところ、「それはね、戸外では自分のやっていることに決して自信が持てないからだよ。常にアトリエで描き直さなければならない」と助言を得た。ルノアールが「風景画の手法(メチエ)とはなにか」と語った時、そこには戸外の光が絵画にもたらす色彩を称える気持ちと、自然を前にして描くことの困難さを嘆く気持ち、両方が綯い交ぜになっていたのかもしれない。(オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵ルノアール展図録より:2016年開催)

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イギリス種の梨の木:ルノアール1873年制作

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柔らかな筆

手法を変えるため、筆も柔らかなものに:改めて1870年代に描かれたルノアールの風景画は心打たれる

 

 

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