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イノシシ案件
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だいぶ昔の事。
高知の食品卸会社からの依頼で百年を超える歴史のある名門会社を買収するM&Aを手懸けた。
部下で担当したのは現在、政局を離れ、海外で充電中のT元参議院議員。同族会社で最初のプレゼンで買収に対して意見が真っ二つに分かれたが、狂瀾を既倒に廻らし無事案件がクロージングした。案件の打合せの後、いつも担当専務が近くの食堂での話が一番の楽しみだった。
趣味人の専務は海釣り、季節解禁日にはイノシシ狩りなどする。その時聞いた話。
「宇都宮さん、高知新聞に載っていたんだが、イノシシ狩りに出かけた腕の立つ猟師が海の崖ぷちまで鉄砲をかまえそろりそろりとイノシシを追い詰めた。あいては大物のイノシシ。鍋にすればたいそうな人に振舞えられる。イノシシも撃たれまえと猟師の目をじっと睨みつける。そして、イノシシが後ろを見ると岸壁と青い海。そうとうの高さだ。ふつうであれば間違いなくしとめられる。イノシシは躊躇したが、猟師の引き金に指がかかる前に、突然、海に身を投じた。」
「宇都宮さん、それからどうなったと思う?」と専務。
「高知新聞には続きが書いてあり、海に飛び込んだイノシシは今度は漁師さんの網にかかり船に引き上げられ、漁師さんが大喜びで家に持ち帰ったそうな」
「イノシシの所有権が猟師か漁師かで揉めていると書いてある」と大笑いで話された。
美味い牡蠣の釜飯をいただきながら先ほどまでの厳しく、息の詰まる買収条件交渉とは打って変り、みんなこの話に爆笑した。
羽田まで帰るフライト時間がせまっており、待たせたタクシーに飛び乗った。その後、時間があったら聞こう聞こうと思いつつ、案件が無事終了した為、聞かずじまいでもう20年近くになる。
専務はいまも数千億の会社の会長となって君臨しているが、このイノシシ狩りの猟師さんはたぶん趣味人の専務だと僕は確信している。あまりにも大物のイノシシの描写がリアルすぎる。好い想いでのイノシシ案件かもしれないが未解決のままが良いのかもしれない。
%E3%83%AD%E3%82%B4.jpg     りんどうの花言葉:「正義と共に勝利を確信する」「気遣う心」     
                   創徳企業情報 代表取締役社長 宇都宮徳治
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