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2017.09.08
一千一秒物語 稲垣足穂
夢を見た。今は昔学生の頃。稲垣足穂の「一千一秒物語」を貸して欲しいと。三島由紀夫も芥川龍之介も「君の世界に行くにはゼンマイ仕掛けの蝶にならなければとてもでないけど行けないと評し」絶賛した。夏を前にして地上から水蒸気が吸い上げられ重たい綿菓子のような雨雲が弾けて、驟雨と遠雷が。彼女はごねた。僕の彼女ではない。面影橋から電車に乗る小銭もなく、夜、胸突き坂を下駄で駆け上がった。稲垣足穂を大雨に濡れないようにサファリージャケットにしまい込んで。いまはない旧田中角栄邸の筋向いに彼女は居た。
「一千一秒物語」を渡すとほっとなんとも云えない笑顔で、大切に今夜読むと。「強い酒と睡眠薬はやめたほうが・・・」と云おうとして。そして慌しく時が過ぎ、卒業する時、「彼女は死んだ」と彼氏が。日本ペンクラブの初代会長を務めた石川達三の血筋。ニヒルで冷たい奴だった。
そんな夢を見た。

43年前に購入したもう一冊の稲垣足穂の「一千一秒物語」はいまも手元にあった。

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