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2022.06.20
石井柏亭 野尻湖

17歳の夏、親友のWと野尻湖を自転車で一周する。一周約15キロ、高低差のある道。たわいもなく、キラキラ夏の太陽を見上げ、冷たい水を飲むために休んだ。この視点からの野尻湖。石井柏亭の野尻湖を後年銀座日動画廊で観た。「これは、信州の野尻湖ですか」と聞くと当時担当者が「宇都宮さん、よくご存じ」と。決めないと売れてしまいますよ。行くたびにもう売れてしまったのでは、行くとまだあるホッとした。4年の月日が経ち、購入した。恋人のような作品。エントランスの飾る場所はもう20年変わらない。17歳の夏の思い出がよみがえる作品。

 

  石井柏亭野尻湖

  石井柏亭 野尻湖油彩P20号昭和17年作

1897年(明治30年)浅井忠に入門し、油絵を学び、1900年(明治33年)に結城素明らが自然主義を標榜して結成した无声会に参加、新日本画運動を推進した。また、中村不折にも師事しており、1902年(明治35年)に結成された太平洋画会に参加。1904年(明治37年)東京美術学校(現在の東京芸術大学美術学部)洋画科に入学するが、眼病のため中退。雑誌『明星』に挿絵を描いたり、また詩作を発表した。

1928年(昭和3年)フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受章、翌1929年(昭和4年)『中央美術』を創刊、1935年(昭和10年)帝国美術院会員となり二科会を辞す。1936年(昭和11年)一水会を結成、1937年(昭和12年)帝国芸術院会員、1949年(昭和24年)日展運営会理事、没後正四位勲二等旭日重光章受章。享年76。

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