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2023.05.11
水村美苗 日本語が滅びる時ー英語の世紀の中で

日本文学:その質と量において。日本文学は世界でもっとも主要な文字のひとつである。その発展のしかたこそ大いに違ったが、歴史の長さ、豊かさ、量の多さにおいては、英文学に匹敵する。現存する作品は、七世紀から現代までに至る文字の伝統により成り立ち、この間、文学作品が書かれなかった「暗黒の時代」は一度もない。

 

二重言語者でありながら歌人でもあった紀貫之がひらがな分の「仮名序」を「古今和歌集」に書いたのは有名である。

やまと歌は人の心をたねとして、よろづのことのはとぞなれりける

そのあと、紀貫之はわざわざ女になりすまして、例の「土佐日記」を書く。

男もすなる日記というものを女もしてみむとてするなり

日本文学史の、えもいわれぬおもしろさ、おかしさが、この一行につまっている。(水村美苗:増補日本語が滅びる時)

水村美苗著「増補日本語が滅びる時ー英語の世紀の中で」筑摩書房

 

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