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2018.01.15
ほんもの 白洲正子
梅原龍三郎との対談集のなかで小林秀雄の審美眼がいかほどまでかと疑問に思い読みすすめたのが、「この人を見よ」小林秀雄全集月報集成、そして、白洲正子著「ほんもの」
おもはず笑いが吹きだしてくる本。ストレスが溜まった日の夜には最良の寝付けクスリ。

鎌倉の道具屋で小林秀雄が購入した呉須の赤松の皿を得意になって青山二郎に見せると、贋物だといわれ、その晩は悔しくてどうしても眠れない。何度も起きて眺めてみるが、「心に滲みるように美しい。この化けもの明日になったら、沢庵石にぶつけて木っ端微塵にしてやるから覚えてろ、パチンと電気を消すが、また、すぐ見たくなる」という具合で、しまいには、「もう皿が悪いとは即ち俺が悪いことであり、中間的問題は一切ない」と思い詰めてしまう小林秀雄。そこで翌日、壺中居に持って行き観てもらうと、真物とわかり、小林秀雄は気が抜ける。
「いい、と言われても、もう二度と見るのは厭だ。ヘドがでるほど見てしまったといい、壺中居に置いて行ってしまう・・・
陶芸で壺中居に通うが、この心境はよくわかる。

そして、小林秀雄の審美眼は「ほんもの」なのである。

安藤広重:相州三浦秋屋の里
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